もっと知りたいコーヒー学
工学屋が探求する焙煎・抽出・粉砕・鑑定etc
発行日 2007年8月6日 初版発行
著者 広瀬幸雄(ひろせ ゆきお)
発行所 株式会社旭屋出版
内容に入る前に広瀬幸雄教授とはどんな人なのか調べてみた。
もちろん、お世話になるのはWikipediaである。
経歴石川県金沢市出身。1963年に金沢大学理学部を卒業、1966年に金沢大学理学研究科修士課程を修了。1970年金沢工業大学助教授、1973年金沢大学助教授、1985年から金沢大学教授、2006年から金沢大学大学院特任教授。2009年には、「超音波計測による骨密度評価法の開発育成」で文部科学大臣賞を受賞した。研究コーヒーについて詳しく、日本コーヒー文化学会副会長、およびコーヒーサイエンス委員会に所属し、大学では「コーヒー学の講義」も行っている。30歳代の時、大学近くの喫茶店でマスターがコーヒー豆をフライパンで炒っているのを見たことがきっかけで、興味を抱いた。コーヒー豆の成分を化学式にして研究したり、産地を40カ国以上訪れたりした。コーヒー豆の酸化を防ぐ水素燃料の焙煎機も開発した。兼六園にある日本武尊銅像の傷み具合を調査した折に、砒素含有度が高いと糞害をもたらす鳩などの鳥が近寄りにくいことを発見。2003年には、「ハトに嫌われた銅像の化学的考察」でイグノーベル賞化学賞を受賞した。他に疑似戸室石の開発、山中温泉と水素水の研究なども行っている。Wikipediaより引用
なるほど、まともな経歴に燦然と輝く「イグノーベル賞」受賞の栄冠。
これなら信じるに値する人である。
コーヒーの書物は大体において専門家と呼ばれる一般人が根拠の薄い巷のうわさや本人の思い込みで書かれたものが多い。
しかし、広瀬教授の場合は工学の専門家なので調査や検査のための測定器を持っており「~だろう」「~かもしれない」という曖昧な内容では結論を出さないのだ。
徹底的に検査し時には電子顕微鏡(SEM)まで駆使して調べる。
今まで読んだコーヒーに関する書物のなかでも群を抜いて特殊だ。
まず、広瀬教授が考える基本は、「私のコーヒー学の中核はハニカム構造」である。
コーヒーの生豆がはじけて内部にハチの巣状の空洞ができる。その空洞にコーヒーの成分が付着し、成分をお湯で抽出することでコーヒーができるということなので、常にハニカム構造をイメージすることが重要だと説かれている。
それでは、本文に入っていこう。
コーヒーには活性酸素を抑える効果があり、「銀/塩化電極」で測定して効果を確認している。また、クロロゲン酸も活性酸素の除去効果が確認されていてコーヒーに含まれているクロロゲン酸をより多く抽出する方法も検討している。
これらの成分は新鮮なものが多くなるのでぜひ「煎りたて・挽きたて・淹れたて」で飲むことが健康にも良いようだ。
焙煎された豆の内部状態を走査電子顕微鏡で観察して教授の中核である「ハニカム構造」を確認している。
そして、興味深いのは「直火焙煎」に関しての考察である。
「直火」とはどのようなことを言うのか一般的に焙煎は熱が必要で「直火」は必要ないというのが通説だ。
しかし広瀬教授はパンチング(一定間隔で穴が開いている金属板)のドラムで焙煎することを推奨している。
確かに炎が直接、豆に当たることがあるため焦げることもあり管理が難しいデメリットもあるが、「コーヒー豆の味と香りがストレートに出る」と評価している。
直火焙煎機
今まではパンチングに意味はないと思っていたので、次回はこの構造の焙煎機を作ってみようと思います。
更に読み進めると色々なことを研究されていてためになるが、すべてを記録することはできないが、もう一つ通説を覆す結果を一つ紹介しよう。
説明のために図を紹介させていただく。
焙煎後の香りと味の変化をグラフ化したものです。(120ページ 図1を引用)
コーヒー豆は新鮮なほうが良いという大雑把な基準でコーヒーを飲んできたが、その大雑把な知識を覆す驚きの結果だ。
香りと味は焙煎後2週間をかけて熟成して行き飽和するのが分かる。
香りはすぐに飛んでしまうのかと思っていたがある程度時間をかけて熟成(この言葉が的確なのかは分からないが)していくようだ。
この他にもたくさんの知識が詰まっている本書はぜひ一読されることをお勧めします。
コーヒーの知識も着けおいしいコーヒーを飲みましょう。
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